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ユースケース07

Blueprint

住宅の“図面読取業務”効率化

  • 建築・不動産
  • 図面読取
  • 業務効率向上
  • 作業時間短縮
  • 拾い出し
  • CrowdANALYTIX

Business challenge

建築業界において、積算業務を行う際、様々な工法によって異なる図面を正しく読み解き、各部屋の各辺の長さや高さ、開口部の規格を洗い出し数値化する必要がある。
この図面の読取業務はすべての積算業務の第一歩目であるが、熟練した人間による専門性が必要な業務だった。
将来的な積算棟数の増加・事業継続性の観点から、BPO等の人的リソースに依存しない、AIを使ったより効率的な業務オペレーションを考えていく必要があった。

課題

建材卸業界では、工務店から送られてくる住宅図面に応じて、図面に記載されている情報を正しく読み解き、壁紙やタイル等部材の積算を行う必要がある。ビジネスの拡大に伴って積算棟数が増加していく中、積算の第一歩目である図面の読取業務を効率化していく必要があった。

住宅図面には、建築に必要な大量の情報が含まれているが、建築工法によって書き方が異なる。図面の縮尺を表すスケールも、909mm,910mm,1000mm等様々だ。また、作成者や工務店によっても、壁や柱・内部外部開口部の表記の仕方が異なり、それを読み解き積算を行うには、経験を積んだ作業者による図面読取作業が必要だ。未経験の人間がある程度図面を読み解けるスキルを身につけるためには、最低1ヶ月程度の教育を受けた後、経験を積みながら作業精度を洗練させていく必要がある。

また、教育を受け経験を積んだ作業者であっても、図面読取自体は容易なものではなく、時間のかかる作業である。熟練した作業者であっても、住宅図面一棟の読取を行うには約1時間程度の作業時間が必要だ。

作業に担当者のマニュアル作業が必須ということは、担当者が処理できる図面数量上限がそのまま積算可能棟数の上限となる。一方で、担当者は簡単に増やすことは出来ず、教育にも時間がかかる。今までは海外BPOの利用も行いながら作業者を増やしてきたが、部材卸ビジネスを拡大させていく上で、この部分が将来的なボトルネックになることは明白だ。また、図面のデータはこれからのDXにおいても重要な非財務資産となる。属人的になっている図面読取業務をテクノロジーで効率化・自動化することは急務だった。

住宅の“図面読取業務”に手間がかかる

課題解決のプロセス

プロジェクトは、まず図面読取業務を各工程毎に分解し、どの作業における作業時間が大きく、改善した際のビジネスインパクトが見込めるかを具体化する作業から始まった。DX部署だけではなく事業部の実作業者を巻き込みながらヒアリングを実施し、スケール設定・部屋名入力・部屋割付・開口部割付作業が作業全体の9割を占めることがわかった。この一連の工程を効率化することが出来れば、比較的大きな効果が見込めそうなことが判明した。

対象となる工程が決まったため、次に行ったのは図面データの確認と、AIの技術的アプローチの策定だ。サンプルの住宅図面約300枚を一枚一枚確認し、精度が一番見込めそうな技術アプローチを選定した。アセスメントの際は、インハウスのデータサイエンティストだけでなく、CrowdANALYTIXのデータサイエンティストコミュニティの様々な意見も収集し、具体的な技術的アプローチを策定した。

結果として、
①精度を出すためには、図面の書き方の種類毎に個別にトレーニングしたモデルが必要であり、汎用的なAIモデルでは運用に乗る精度は出ないであろう、ということ
②複数のAIモデルと後処理を組み合わせ、ピクセルベースの計算を行うことによって最終的な座標情報を算出するアプローチが最も良さそうだ
ということがわかった。

その後、種類の異なる図面3000枚に対し、アノテーションを実施。教師データセットとなる図面アノテーションデータと座標データのセット3000件を作成した。
そしてAIモデル開発へとプロジェクトは移った。図面読取りを行うために、今回は①物体検出モデル②セグメンテーションモデル③ポイント検出モデル④OCRモデルを個別に開発し、それらを組み合わせることによって算出されたピクセルベースの座標を後処理で数値変換処理を行うアプローチを取る。図面に含まれる各個別の部屋割り図の位置や対応する通り軸を検出してグループ化し、壁領域を識別。原点座標を定義し、柱位置の算出結果によって他AIモデルからの予測値を修正する。複数のAIモデルの処理を組み合わせることによって、最終的な頂点座標数値を導き出す。

結果として、複数回のイテレーション・モデルチューニングを経て、抽出対象のアトリビュート5つに対して、90%を超える精度で図面に含まれる座標を算出するAIの開発に成功した。
精度の高いAIモデルが完成したとしても、プロジェクトはそこで終わりではない。DX部門と事業部門、開発ベンダーが協力しながら実運用にAIを適用し、狙った効果が出るように適宜修正・機能追加し、メンテナンスしていくことが必要だ。
本プロジェクトは現在進行系で進んでいる。今後はフィールドテストを行い、実運用の中で発生する課題を一つ一つ解決しながら、継続して本AIサービスのブラッシュアップを行っていく。

BPO作業/比例的に工数増加→AI+マニュアル作業/工数増加を低減
AIプロジェクトの進め方/実際のプロセス
Solution