Macnica

ユースケース03

Nursing home

介護施設利用者 持ち物チェック自動化

  • ヘルスケア
  • 生産性向上
  • 労働力の確保
  • コスト削減
  • 音声認識
  • 画像認識
  • 自動分類
  • CrowdANALYTIX

Business challenge

介護施設職員には膨大な業務があり、その中でも負荷が高い作業の一つが持ち物チェックだ。
利用者が入所及び退所する度に持ち物を一つ一つ確認してリストを作成・照合する作業は、丁寧に行えば時間がかかり、別の介護業務に支障が出る。
逆に、作業を簡略化すれば、今度は持ち物の取り違えや紛失が発生し、会社全体の信用問題にもつながり兼ねないという、大変ストレスの多い業務である。
持ち物の取違いや紛失を無くしつつ、時間を短縮したい。
AIの自然言語処理と画像認識技術を用いて、本来トレードオフの関係にある業務の精度とスピードの両立を目指す。

課題

介護施設では、持ち物の紛失や取り違えを防止するため、利用者の入所時と退所時に持ち物チェックを行っている。持ち物の中には貴重品や薬も含まれ、絶対にミスは許されない。それにも関わらず、持ち物チェックの実情は属人的且つ作業の負荷が高いために、度々問題が起きていた。

入所時には、利用者が持ってきた荷物を職員が鞄から出して、一つ一つ記名を確認し、持ち物の特徴を添えたリストを手書きで作成し、再び鞄へ戻す。退所時には、持ち物リストを見ながら持ち物を一つ一つ確認していく。ショートステイ施設では毎日のようにこのチェック作業が行われ、入所が集中する週末は特に忙しい。

ここで肝となる持ち物リストは、本来利用者のご家族が記入するルールになっており、持ち物への記名も必須である。しかし残念ながらどちらも形骸化しており、結局介護施設職員が持ち物を一から確認しているのが現状である。例えば、持ち物50個(二泊三日分)×一日の入退所10名=毎日500個もの持ち物を一つ一つ確認することになる。だからと言って作業を簡略化するために持ち物の特徴を細かく記入することをやめれば、退所時に別の物とすり替わっていても気付くことが出来ない。一口に「肌着」と言っても、色はベージュ、オフホワイト、グレー、形は丸首にVネック、袖は半袖か長袖か・・・利用者の衣料品には個性があまり無い中にも細かい違いがあるのだ。

持ち物の特徴を正しく記録するにはどうしたらいいか?作業時間をどれだけ短縮できるか?

AIの導入によって精度とスピードという相反する二つの課題を同時に解決するため試行錯誤を重ねた。

Business challenge

伴走しながら課題解決へ

始めに考えたのは、持ち物を撮影するだけでAIが持ち物名と画像を自動的に記録する、つまり100%画像認識だけで持ち物カテゴリーを判断する方法だ。まずはプロトタイプを作るべく、持込み頻度の高いカテゴリーに絞って10日間で2500枚の画像を撮影、「パジャマ・長袖・青・花柄」等一つずつ特徴を添えてAIに学習させた。しかし、利用者である高齢者の衣料品はサマードレスやサンダル等と違って特徴が少なく、カテゴリーや色柄を網羅するにはデータが全く足りない。合わせてネットワークも高速化していく必要があった。また、撮影時に衣料品の柄や色、更には半袖と長袖の区別をするためには、畳まれている衣類を都度広げてまた畳まなければならない。これでは職員に余計な手間がかかってしまう。このまま完全AI化を進めてしまったら、作業スピードが今より落ちてしまい、新システムを誰も使おうとしないことは明白だ。

ここで大きく方向転換を行った。持ち物を静止画ではなく動画で撮影し、職員が持ち物名を発声、AIは職員の声から言語処理を行って、画像をカテゴリー別に記録していく方法に行き着いたのだ。動画の撮影であれば、職員は衣類を鞄から出す一連の動作の中で、いちいち撮影ボタンを押すこともなく、ただ持ち物名を発声していけばいい。

開発を進めていくうちに、画像データが残ることにより、「持ち物紛失時に記録から似たものを探す」という業務課題も同時に解決できる道筋が見えてきた。もし取違いが起きれば、その時にAIが画像処理で類似品検索をすれば良い。このように当初想定していたスコープに拘らず、課題解決に向けて最善策を模索していくうちに、新しいソリューションも同時に提供できるようになった。

今後は、全国の施設で実際にAIを使って持ち物チェックを行いながらデータを蓄積していく。同時にネットワークもカメラも性能が上がっていくはずなので、それに従って完全AI化を進めていくこととなった。よく誤解されることだが、AIは最初から万能なわけではない。データを蓄積し、学習を重ねることで進化していくのがAIなのだ。

AI導入のプロセス
Before After
モニタリングと継続的最適化